Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
雨中の勝負
屋根を叩き続ける雨粒の音で目を覚ます。
朝七時。
いつもならカーテン越しでさえ目を刺すような温かな日差しが入るのに、今日は夕方と勘違いしてしまいそうな暗さ。
「うわ、凄い雨……」
ザーーーッ。とラジオの調子が悪い時の様な音だけが鼓膜に伝わる。
そうすると、なんだか昨日のあのことを走馬灯?みたいに思い出してしまうんだ。
追い掛ける拓哉の背中。
拓哉と優斗が喋りだした校門。
急に聞こえた怒鳴り声。
身体を震わせた時に見えた灰色の地面。
優斗に殴りかかろうとする拓哉。
血をだしながらいつもみたいに笑った優斗。
そして、あのキス――