Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
私と美穂が少し話をしてから教室に入ると、拓也はもう自分の席で居眠りをしていた。
ちゃんと寝てきなさいよ……汗
「おはよう琴音、美穂。昨日のMスタ、詩帆の新曲聞いた?」
ポニーテールがトレードマークの佐竹 亜季(さたけ あき)。
陸上に人生をかけるスポーツ少女。
ちなみに中2の時に1000メートルで全国大会に出場するという快挙を成し遂げた凄い子。
でも、全国大会では予選を突破できなくて、今年は更に燃えまくってます。
「聞いた聞いた。凄い良かったよね。なんか切ない感じの名曲だったね。」
「曲名なんだったっけ?」
「うんとね……確か。そうそう『真夏の星座』だよ。」
詩帆の話題ですっかり盛り上がる私達。
もちろん少しでもテスト勉強すれば良かったと、後々に後悔することになるということは言うまでもない。
「にしても相変わらず琴音は鷲尾と仲良いなぁ。もう付き合っちゃえば良いじゃん。」
「はぁ?な、なに言ってるの?」
付き合うって、アタシと拓也が?
あり得ない……
だって拓也だよ?
「嫌だよあんな年中ダルダル男。私の理想は、背が高くて優しくて、笑顔が素敵で、背が高くて、スポーツとかで夢をしっかり追い掛けてて、それでほんのちょっと強引な……って誰も居なーーい!!」
私が夢の王子様のことを語っていると、美穂と亜季はさっさと席に着いていた。
しかも、いつもしないくせにテストの勉強してるし……
ふん、だ。
でも、拓也と私が付き合うなんてそんなの……
そんなのあり得ないよね?
ちらりと見た拓也は居眠りの真っ最中。
拓也とデートしてるとことか想像できないし、やっぱり無いと思った。
うん。無い無い。