君だけに夢をもう一度 15の心
「そうだね・・・・・・」
小田は、どっちつかずの返事をした。

「やはり、そうなんだ」
小田の表情を見て、真紀子は確信する。

「僕、楽しいんだ。山本君や竹中君を見ていると・・・・・・」
小田が、ぽつりと言った。

「楽しい・・・・・・?」

「あぁ、何か、目指すものがあって頑張っている姿を見ていると」
小田は、にこりと笑った。

「真紀子ちゃんは、あの二人が音楽をやることをバカげていると思っているかもしれないけど、二人はそれを活力にしている」
小田が真顔で言った。

「山本君は、受験勉強を頑張っているよ。成績だって少しずつ上がっている。どんなことでも、目指すものがあって努力する姿は立派だと思うんだ」

「・・・・・・」

「そんなふうに、あの二人を見てみたら、どうだろう? 」

「・・・・・・・」
真紀子は黙ったままだった。

「それじゃ、バスが来る時間だから。またね」
と、言って小田は真紀子の前を立ち去った。


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