君だけに夢をもう一度 15の心
次の日の朝。
正和が教室の席に着くなり、真紀子が近寄ってきた。

「これ、試験に出る重要なポイントだから、憶えたほうがいいわよ」
真紀子が、英語の参考書を差し出した。

参考書には、英語の単語を赤ペンでチェックしていた。

「ありがとう」
正和は、素直に言った。

真紀子は、無表情に何も言わず席に戻った。


文化祭も三日前になった。
竹中と真紀子は言い合いもなく、真剣に合唱の練習に取り組んだ。

この頃、正和は、真紀子のことを誤解していたことに気づく。

真紀子は、何事にも真剣に真面目に取り組む。
勉強にしてもスポーツにしても、全力でぶっかる。
真紀子は中途半端が嫌いな性格だった。

時として、人とぶつかるのは、真剣にやらない人間が許せないからだ。

正和は、真剣に受験勉強に取り組む姿を見て、真紀子は協力してくれたんだと思った。







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