君だけに夢をもう一度 15の心
真紀子は、しばらく黙り込んだ。
正和は、いけないことを聞いてしまったのかと思った。

「別に話したくなければ、いいんだ・・・・・・いけないこと聞いちゃったみたいだね。ごめん」
正和が、真紀子の顔色を見て謝った。

「私の知っている人で、そう言って不幸になった人がいたの・・・・・・だから、山本君や竹中君には、そうなって欲しくないの」
真紀子がもの思いに言った。

「そうだったの・・・・・・」

正和は、真紀子が言っていた不幸になった人の話を聞きたかった。
だが、真紀子は、どこか寂しい表情だった。
それは、いつも気の強い真紀子ではなかった。
そのため、正和はその話には触れなかった。

「このアルバムに入っている曲なんだ」

正和が、サザンのアルバム『人気者で行こう』をちゃぶ台に置いた。

「どの歌なの? 」

「この『Dear John』っていう歌なんだ」
正和が、アルバムに書いてある曲名を指さした。



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