君だけに夢をもう一度 15の心
正和が帰りのバスを待っていると、小田の母親が見送りにきた。

「せっかく来てくれたのに、なにもお構いできなくて・・・・・・良かったら、これ食べて」
母親は、紙袋を正和に差し出した。

「いえ、結構です」
正和は断った。

「そんなこと言わないで、お願いだから」

母親は頼むように言った。
その表情を見た正和は、素直に受け取った。

「ありがとうございます」

正和が紙袋を手にした。
袋の中身はミカンだった。

「ごめんなさいね。みっともないところ見せちゃって・・・・・・」

母親が硬い表情で息子のことを言った。

「いえ・・・・・・」

正和は返事に困った様子で答えた。









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