君だけに夢をもう一度 15の心
倉庫の中に入っても、竹中は黙っていた。
いっもは陽気でにぎやかな男が、物静かで無表情だった。
その姿を見て失恋の傷手は大きいと思った。

竹中がフォークギターを手にして、サザンの『NEVER FALL IN LOVE AGAIN』の間奏部分を弾き始めた。

「この曲・・・・・・」
小田が、竹中に聞かれないように、ささやくように言った。

「何? 」
正和もささやくように聞いた。

「サザンの『NEVER FALL IN LOVE AGAIN』だよね」
小田が正和に歌のタイトルを確かめた。

「そうだけど・・・・・・」
正和が答えた。

「日本語のタイトルに訳すと、『恋におちない』っていう内容だよ」
小田が説明した。

『恋におちない』という内容、まさに竹中の恋を語っているような歌だと、二人は思った。

「でも、なんでこの歌なんだ? 」
正和が不思議に思った。

「僕達に当てつけしているんじゃないか」
「当てつけ・・・・・・?」

「彼女に彼がいたことを話さなかったことの・・・・・・きっと、怒りをギターで表現しているんじゃないだろうか・・・・・・」

小田が竹中の心理を読んで言った。

正和は、竹中に悪いことをしたという気持ちが強くなった。










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