君だけに夢をもう一度 15の心
朝方ムーンライト
「たけちゃん、またバンドができることが、すごく嬉しいのよ。高校を卒業したら、家の仕事に専念するために、キッパリと辞めちゃったから」

竹中は、靜香の店で酔いつぶれて寝ている。
その横で小田が言った。

「子供の好きなようにさせてやれって、言ってたのは、お父さんから言われたことを思い出したんだろうな・・・・・・」

正和は、竹中が家業を継ぐことを言った日のことを思い出して言った。

「俺、竹中から言われたよ。大学に進学する時、俺の分まで音楽をやってくれって」

「たけちゃん。ずっと、あのまま高校生のままでいたいと言ってた。自分らしく生きていることを実感できたのは、皆とバンドをやってた頃だって・・・・・・それは、私も同じなの」

「そうだったのか・・・・・・」
小田の説明で、二人がバンドをやりたい本当の訳を知った。

外で車のクラクションが鳴った。

「タクシー来たみたいね」
カウンターの中で靜香が言った。

二人は酔った竹中を連れて帰るため、タクシーを呼んだ。





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