君だけに夢をもう一度 15の心
「また音楽を始めるんだって ?」
「あぁ・・・・・・竹中と小田と一緒にね」

「昔の彼女と会って約束したんでしょう」

「えっ! どうして、それを? 」
正和は、音楽を始めようと思った動機を知られていることに動揺した。

「おだちゃんのお店で、髪をセットしてもらった時に聞いたのよ」

「あいつ・・・・・・」
正和は呆れた表情をして言った。

「素敵なことじゃない。その彼女も素敵な人なの? 」
真紀子が正和の心を探るように聞いた。

「いや・・・・・・」
正和は返事に困った。

「でも、おだちゃん。また音楽をやることが、すごく嬉しそうだった。私、それ見たら何か羨ましく思ったわ」

「羨ましいって・・・・・・? 」

「私には、そんな楽しいことなんかないから・・・・・・」
真紀子が、ぽつりとつぶやくように言った。





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