君だけに夢をもう一度 15の心
「そのことを伝えに、わざわざ来てくれたの? 」
「あぁ・・・・・・中田には勉強会でも世話になったからな。報告しなければいけないと思ったんだ」

「そうだったの」

「それで明日、家で勉強会のメンバーを呼んで合格祝いをするんだ。良かったら、中田も来ないか? 」

「明日・・・・・・? 」
「あぁ、明日の午後だけど」

「ごめんなさい。明日は用事があるの 」
「そうか・・・・・・でも、時間があったら来てくれ」

「行けなくて、ごめんなさい」
真紀子は、すまなそうな表情をして、マンションの中に入った。


真紀子の様子は変だった。

真紀子は成績も良く優秀な生徒だから、合格もあたりまえかもしれない。

合格発表の日ぐらい受験から解放されるため、合格できたことの喜びを素直に表に出してもいいと思った。

「おめでとう」と、自分に言ってくれた時の笑みも、どことなく無理をしているようだった。

正和は、真紀子のことが気がかりだった。











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