君だけに夢をもう一度 15の心
「音楽って、そんなに楽しいものなんだ・・・きっと、お母さんも、そんな感じで楽しかったのかな・・・」

真紀子はもの思いに言った。

「中田のお母さんも音楽をやっていたの? 」
正和が怪訝な顔で聞いた。

「・・・・・・・」
真紀子は答えなかった。
そして、缶コーヒーをゴミ箱に入れて歩きだした。

正和も慌てて缶コーヒーを飲みほしてゴミ箱に入れた。
そして、真紀子の後を追いかけた。

再び、正和は真紀子の横に並んで歩いた。

二人は、市外の国道沿いの歩道を歩いていた。
車も、ほとんど走っていない。

やがて、海沿いの道を歩いていた。
波音が静かに聞こえてくる。

二人は、ただ黙っている。
正和は腕時計を見ると、午前3時を過ぎていた。













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