君だけに夢をもう一度 15の心
「どこまで行くんだ!」
思い切って正和は、真紀子の手を掴んで歩くのを引き止めた。

真紀子の周辺で何かが起こった。
それから逃げるようにして家を出たことも想像できた。

しかし、このまま宛もなく歩いても仕方ない。
真紀子の家族も心配している。

なんとか真紀子を引き止めたいと、強い気持ちが正和の心の中に芽ばえた。

「何、逃げているんだ!」
正和は、わざと強い口調で言った。

「なんでもないわ! 」
真紀子は反発した。

「どうしたんだ? 俺は、中田のことは、何があっても真正面から受け止める強い人間だと思っている・・・・・・」

正和は、真顔で言った。
じっと、真紀子の目を見ている。

やがて、真紀子は正和に背中をむけて泣き崩れた。

「中田・・・・・・」
正和が優しく声をかける。






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