君だけに夢をもう一度 15の心
「たぶん、お母さんは、自分のことをごまかしていないと思うんだ。カラオケで歌うことで、辛いことなんか忘れて活力にしているんだと思う。自分は、そう思うけど」

正和が優しい口調で言った。

「・・・・・・」
真紀子は何も答えなかった。

「・・・・・・」

「そうね・・・・・・そうかもしれないわね。私、お母さんにいけないこと言っちゃった」

真紀子は、後悔して涙ぐんだ。
肩が震えている。
その震えは、そばにいる正和にも伝わる。

正和は右手を、震える真紀子の肩を支えるように手を回した。
真紀子の体が正和に寄りかかる。
正和は、うまく慰めの言葉が出てこない。

真紀子のふくよかな胸が、正和の体に触れる。
すると、甘い女性の匂いがした。






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