君だけに夢をもう一度 15の心
正和は、真紀子の後ろ姿を見ていると、15歳の頃を思い出した。

結局、真紀子は東京に行くこともなく、ずっと福岡で母親と一緒に暮らした。

思春期の頃、親の生き方を否定して反発をする。真紀子も、そんな時期だったかもしれない。でも少しずつ、親は苦労して自分のことを育ててくれたことに気付き感謝するようになる。
今の真紀子は、立派な大人の女性だった。

真紀子が自分とキスをした時、どんな気持ちだったのか、そのことばかりを考えていた時期があった。

あの時以来、そのことを真紀子に聞くことはなかった。

たぶん、これからも聞くことはないだろう。
今、思えば聞かなくて良かったと思った。

真紀子が、どういう気持ちで自分とキスをしたのか。
そのことよりも、自分自身が真紀子とキスをしたことが、素敵なことだと思うようになったからだ。

やがて、真紀子の後ろ姿が見えなくなった。











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