君だけに夢をもう一度 15の心
夜。

正和は自分の部屋にいた。
竹中から誘われた高校進学のことを考えていた。

竹中のバンドへの思いは、思春期の男子が誰もが考えることで、実に単純なことだと思う。

女子生徒にモテたいから、希望校を決めるなんて、ふざけているという人もいるかもしれない。

だが、今の自分に将来のことは決められなかった。
自分がどんな人間で、どんなことができるのかさえ、よくわからない。

確かに、将来のことを決めて努力して進学する友人もいるが、正和にはなかった。

無理に決める必要がない。
そう思うと、今やりたいことをやろう。
すると、それは音楽だというのがわかった。

竹中が、高校に行く目的を作ってくれたんだと素直に思えてきた。





< 28 / 239 >

この作品をシェア

pagetop