君だけに夢をもう一度 15の心
正和は、テレビのどっきりみたいに冗談で怒った。

それが成功できて、竹中の慌てようがおかしかった。
それで、しばらく笑いが止まらなかった。

「本気で殴られるかと思ったよ」
竹中は、緊迫感から解放されたため笑顔が戻った。

「驚かせて悪かったな。でも、なんかスッキリしたよ」

最近、勉強ばかりの正和にとって、久々に大きな声を出して笑った。
それはストレス解消になった。

竹中が、カセットテープをラジカセにセットして早送りをする。

ラジカセから、『ラチェン通りのシスター』の歌が流れてきた。

「これ、菜々子ちゃんのお気に入りの歌なんだ」

竹中がラジカセの音量を上げた。

「菜々子ちゃん、香椎のみゆき通りの近くに住んでいるんだ・・・・・・」
にゃけて竹中が言った。

「俺にとっては、『みゆき通りのシスター』だな」

竹中は確かに恋をしている。

正和は、彼女のことを話す竹中を見て思った。
















< 53 / 239 >

この作品をシェア

pagetop