坂口美里とガルダスト


「お前、まだ見てるの?ガルダスト?」


「何言ってるの、隆!!私からガルダストを奪ったら、何が残るというのよ!」


「えばって言うなよ。15歳。」


「うるさいよ。ちびすけ。」


「なんだと!」


「お前たち、痴話げんかなら、家から出てやれ。」


 二人の会話は、兄貴の呆れ声によって、中断された。


「あ、兄貴。」


 私が、後ろを見て口にする。


「こんにちは坂口先輩。」


 隆が正面を向いたまま律儀に頭を下げて挨拶をした。


 隆と兄貴は同じサッカー部の先輩後輩。


 それ以前に、私と付き合っている以上、隆が兄貴に頭が上がるはずもない。


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