坂口美里とガルダスト


「そう。エネルギー。鉄人機を動かすにはガトトリノっていう、特殊なエネルギーが必要なの。当然、その販売元もアルタス財閥管轄だわ。販売されていた当初は、ガトトリノも大幅に、格安で私たちに分けていたんだけどね。3年前、つまりは、先ほど私が話した計画が立案されるや否や、途端にエネルギーの販売をストップさせたの。まぁ、無理もないわよね。他の鉄人機が動いたら、アルタスの計画、丸つぶれですもの。」


 カオリの顔は、本当に苦々しそうだった。


 よほど、悔しいのだろう。


 アルタスの思い通りにしかならない、現状が。


 だからこそ、彼女は精一杯の抵抗作として、時々、これ見よがしにガルダストを動かし、まだエネルギーがあることをアピールすることでアルタスさんを抑えていたんだ。


 もちろん、それはただの時間稼ぎにしか過ぎないことは、カオリが一番分かっていることなのだろうけど。


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