坂口美里とガルダスト
2.フリーマーケット
 季節は5月だというのに、お昼も回って太陽の日差しから暑さが身に染みる。


 閑静といえば、いえなくもない小さな住宅街。


 隆の自転車の荷台に乗って、私たちはそんな場所をすり抜ける。


 目の前に汗だくになってペダルをこぐ隆が見えるが、男がそれぐらいのことで根を上げられてもらっては困る。


「いい天気だねぇ。」


 アスファルトから、熱気が漂う道路を自転車で移動しながら、隆に声をかける。


「え?あ、そうだな。」


 息を切らせながら、曖昧な返事を返す隆。


 まったく、情けないなぁ。


「私ね、進路やっぱり、腹工にしようと思うんだ。」


「え、あ、そうか。」


 まったく、お前って男は……。


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