坂口美里とガルダスト
「聞いてる?」
「聞いているよ。腹工だろう?……え!腹工?」
ようやく、言葉の意味を理解してペダルをこぐ足を止める隆。
振り向いた顔の表情が、その驚き具合を言わすとも物語っている。
衝撃で身体が前のめりになるが、何とか手に力を込めてバランスが崩れるのだけはこらえた。
「いいから、早く行こう。良いものなくなっちゃうよ。」
「え?あぁそうだな。」
驚愕の表情はそのままに、隆は再び足を動かし始める。
「でもお前、腹工って腹月工業高校だろう?どうして?」
息を切らせながらの言葉。
まぁ、聞き取るには何の苦労もしない。