坂口美里とガルダスト


「ああ、美里ちゃんは、会ったことあるはずだけど、覚えてないかな?俺の家の向かい側に住んでいるお婆さんなんだがな。何でも彼女は、本当は魔法使いで、自分の国に続く扉が、そいつらしい。」


「本当に!」


 予想以上に興味をそそる話に、思わず身を乗り出す私。


「信じるなよ、美里。おじさんも、作り話ならもう少しひねろって。」


「いや、ウソじゃないんだけどな。やっぱり、最近の子どもはこんな話信じないか?」


「当たり前だろう?」


 隆がそう言いながらも。


「ううん!私、信じるよ。おじさんの家の向かい側に住んでいるお婆さんって、あの、『黒髪の魔女』でしょ?」


 ちなみに、命名者は坂口睦月。私の実の兄である。


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