坂口美里とガルダスト

「え~と、なんだっけ?確か、カイト=ウリグス……え~と……。」


「ダイゴロウ=サトル=タケチャン!」


 私が、松本おじさんに続いて、言葉を続ける。


「ああ、確か、そんな呪文だった……気がする。でも、どうして美里ちゃんがそれを?」


 当たり前だ。割り箸人形を作るときに唱えた呪文。


 家に帰ってから、何度も何度も兄貴と一緒になって復唱した。


 今でも、鮮明に思い出すことができる。


「なんか、その呪文、他になかったのかよ?適当な男性の名前つなげただけじゃないか?」


 どこまでも、興奮に水を指す男め。


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