坂口美里とガルダスト
「それだけじゃない。もっと根底的な問題。どうして人は生まれ、子孫を反映するのか、どうして、人は繁栄を極めながらも、より利益を求めて戦争をするのか、どうして、人は地球に悪い身体にも悪いと知りながらも贅沢な暮らしをやめようとしないのか……昔に戻らなくても、科学で証明できないことなんて、今でもたくさん溢れているよ。そんなことに比べたら、蛍光灯が魔法の国につながっていることぐらい、たいしたことではないと思わない?」
「それは、科学じゃなくて、哲学。まぁ、美里がそれでいいというなら、止めはしないけどな。」
隆の大きなため息が漏れる。
「うん、もちろん止められてもやるつもりだったけどね。」
と、言っても蛍光灯をさすりながら呪文を唱える程度、人前じゃなければ、これと言って止められる理由は見つからない。
隆も、まさかこれが本当に魔法の国への入り口だとは思っていないから、な~んにも起こらなかった。というだけで終わるのだろうと思っているのだろう。
でも、あのお婆さんの持ち物である以上、何か仕掛けがあることには間違いないのだ。
せめて、それを解明しなくては……。