坂口美里とガルダスト


 みっともない姿だ。


 心から、思う。


 まったく、こいつが神谷高校の美男子コンテストで上位に食い込んだなんて、絶対ウソだ。


 私は、そんな兄貴の姿を横目で流すと、階段を下りて、玄関に向かう。


 坂口家は、これといったお嬢様の家庭ではないので、階段を下りれば、すぐ玄関である。


 素材は分からないが、木製の靴入れの棚の上には、意味なく『寿』と書かれた色紙やら、熊の置物が置いてあって、ある意味、この家の中では一番の高級感をかもし出していた。


 玄関を着飾るのは、見栄っ張りのやることだ。と、この前テレビでやっていた。


 お父さん。私たちの家族はやっぱり見栄っ張りの家族だったんだね。


< 8 / 178 >

この作品をシェア

pagetop