雲間のレゾンデートル
キラーチューン
 始めのうちは慌てたけどもうここまで濡れちゃえば気にするのも馬鹿らしいなぁ、なんて思えてきた。


 ううん、寧ろシャワーみたいで気持ちいいかなぁ、なんて思うほど。


 ケータイさえ濡れなければあとはいいかなぁ。

 教科書とかは後でドライヤーで乾かせばいいんだし。

 うん、ケータイさえ濡れなきゃ大概の事ってどうにかなるもん。


 あたしはそう結論付けるとバッグを開けてケータイを教科書の間に挟んで一番底へ押し込んだ。  

 そしてバシャバシャとアスファルトの上を弾く雨音や足早に走り去るサラリーマンの足音を遠くに聞きながらゆっくり雨の中を歩く。
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