雲間のレゾンデートル
 せめて、家を出て一人で暮らしてたら…大人ならさっきみたいなことで別れちゃったり――家の事を気にせずに済んだんじゃないかなぁ。


「そう考えるとあたしの年ってすごく中途半端だよね、大人でも子供でもなくて」


 感じていた事が思わず言葉になって零れ落ちる。

 自分の中でモヤモヤとしていた気持ちがこうやって口から出て『音』になるとなんだかしっかりとした形を持った疑問になった気がした。


「『大人でも子供でもない』、か」


 まるでミリオンヒット曲のサビみたいにしっくりきて耳に残る言葉だと思う。


 つい半年ほど前は中学生でコドモだなぁ、高校生になれば今よりも沢山色々出来るかなぁなんて思ってたけどあんまり変わりなんてない。

 あるとしたら援交目的のおじさんやおにーさんに声かけられる事が増えたぐらいで。


 そのぐらいにしか認められない年なんだ。
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