雲間のレゾンデートル
ヒロインなんてなれないんだよね。
 彼氏が出来た。


 今までも彼氏はいたし初めてってわけじゃない。

 だけど新しい恋が始まる度に一緒に始まるこのドキドキはすごく心地良いと思う。


 ツンとした痛みみたいなドキドキは1度目だろうが2度目だろうがそれこそ100度目だろうが『初恋』みたいに感じるのはあたしだけじゃないはずだ。


 隣を歩く大原君を盗み見てあたしはそう思うと少女漫画のヒロインよろしくニコニコと笑みを浮かべる。

 そんなあたしを見て大原君も小さく笑ってくれた。

 あたしより頭1つ高いところから見下ろされる視線がくすぐったい。

 大原君は同級生だけど夕暮れのオレンジ色を浴びた顔は少し大人びて見えてなんだかカッコ良く見えた。

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