雲間のレゾンデートル
「お嬢、もうじき着きますよ」

「え、あ…うん」


 ユルイあたしなりに一生懸命考えていたら隆ちゃんに呼び戻された。


 窓の外を見てみればさっき右に曲がるはずだったT字路。

 見慣れた看板や標識にのろのろと実感が溢れてくる。

 ほんと、もう家の近くだ。


「着いたらすぐに湯の準備しますんで体冷やさねぇようにして下さい」

「はいはーい」


 いつもの隆ちゃんの気遣いの言葉にあたしも隆ちゃんに合わせていつもの調子で返事をする。

 いつも通りのフワフワしたユルイ返事をしたのに心まではそうならなかった。
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