しずめの遭難日記
―8月20日―
今日は、祖母の家へ行けない代わりに、祖母宛てに手紙を書くことにした。ついでに、あの女がいかに間抜けであるか、祖母に知って貰うために、あの女の生活振りを書き記して置いた。別に、私があの女が嫌いだからといって、嘘を書こうとは思わない。そんな事しなくても、あの女の生活振りはひどいものだ。この手紙を読めば、きっと祖母が、父の再婚を窘めてくれることだろう。
―8月21日―
今日、祖母から電話があった。電話にはあの女が出て、祖母と何やら話し込んだ後、私に受話器を渡した。
まったく!関係ない女がなんで私のおばあちゃんと長々と話してるのよ!
「しずちゃん。おばあちゃんがお話あるって…」
あの女が、祖母との長話をやっと終えたようなので、私はすぐに女から受話器を奪うと電話口の祖母に挨拶をした。
「しぃずぅ。おらだぁ。たえばぁだぁ」
今年で77になる多恵婆ちゃんは、自分の事をオレとかオラといって、いつも私を笑わせるが、本人は私のことを笑わせるつもりはないらしく、以前、父に「あれは方言みたいなものなんだよ」と教えて貰ったことがある。
「あ、おばあちゃん?…うん。今年はそっち行けなくてごめんね。うん?手紙届いた?え?…………うん。わかった。うん…うん」
久振りの祖母との会話。私は、いろいろな話をしてくれる祖母の事が大好きだったのだが、この時ばかりはそんな祖母の言葉を疑いたくなった。
今日は、祖母の家へ行けない代わりに、祖母宛てに手紙を書くことにした。ついでに、あの女がいかに間抜けであるか、祖母に知って貰うために、あの女の生活振りを書き記して置いた。別に、私があの女が嫌いだからといって、嘘を書こうとは思わない。そんな事しなくても、あの女の生活振りはひどいものだ。この手紙を読めば、きっと祖母が、父の再婚を窘めてくれることだろう。
―8月21日―
今日、祖母から電話があった。電話にはあの女が出て、祖母と何やら話し込んだ後、私に受話器を渡した。
まったく!関係ない女がなんで私のおばあちゃんと長々と話してるのよ!
「しずちゃん。おばあちゃんがお話あるって…」
あの女が、祖母との長話をやっと終えたようなので、私はすぐに女から受話器を奪うと電話口の祖母に挨拶をした。
「しぃずぅ。おらだぁ。たえばぁだぁ」
今年で77になる多恵婆ちゃんは、自分の事をオレとかオラといって、いつも私を笑わせるが、本人は私のことを笑わせるつもりはないらしく、以前、父に「あれは方言みたいなものなんだよ」と教えて貰ったことがある。
「あ、おばあちゃん?…うん。今年はそっち行けなくてごめんね。うん?手紙届いた?え?…………うん。わかった。うん…うん」
久振りの祖母との会話。私は、いろいろな話をしてくれる祖母の事が大好きだったのだが、この時ばかりはそんな祖母の言葉を疑いたくなった。