しずめの遭難日記
「うわっ!凄い吹雪。…ねぇ。こんな所にいるより、早く下山した方がいいんじゃない?このままだと私達、遭難しちゃうよ?」
吹雪…とは言っても、それは降雪に少し風があるという程度の物だったので、私は軽い調子で父にそう提案すると、父は益々渋い表情になり、女をジッと見つめる。私は父の意味ありげな視線が気になり、父が目を落としている女の足首辺りに目をやった。
「………あ」
私は思わず声を上げた。女の足は、赤黒く腫れており、とても歩ける状態ではないことが見て取れたのだ。
「神楽はお前を助けようとしてお前の下敷きになったんだ。骨が折れていなければいいんだが………」
父は私に目を合わせないまま、女の赤黒く晴れ上がった足首に腫れを冷ますためのシップを張り替えた。
女は、私を責めるでもなく、ただ、力無く笑っていた。
私は女に謝らなかった。どうせ、点数稼ぎに決まっている!絶対に謝ってなんてやるもんか!
―2月24日―
風は更に強くなり、とうとう吹雪になった。女の足の腫れは一向に治る様子もなく、私は、真っ白になっていく景色をジッと見つめていた。
誰も何も言わなかったが、このような状態を何というか私は知っていた。
『遭難』
その言葉が、今の私達の状況にはピッタリの言葉だ。
それにしても、よりにもよって遭難だなんて!明日は私の誕生日だというのに!
吹雪…とは言っても、それは降雪に少し風があるという程度の物だったので、私は軽い調子で父にそう提案すると、父は益々渋い表情になり、女をジッと見つめる。私は父の意味ありげな視線が気になり、父が目を落としている女の足首辺りに目をやった。
「………あ」
私は思わず声を上げた。女の足は、赤黒く腫れており、とても歩ける状態ではないことが見て取れたのだ。
「神楽はお前を助けようとしてお前の下敷きになったんだ。骨が折れていなければいいんだが………」
父は私に目を合わせないまま、女の赤黒く晴れ上がった足首に腫れを冷ますためのシップを張り替えた。
女は、私を責めるでもなく、ただ、力無く笑っていた。
私は女に謝らなかった。どうせ、点数稼ぎに決まっている!絶対に謝ってなんてやるもんか!
―2月24日―
風は更に強くなり、とうとう吹雪になった。女の足の腫れは一向に治る様子もなく、私は、真っ白になっていく景色をジッと見つめていた。
誰も何も言わなかったが、このような状態を何というか私は知っていた。
『遭難』
その言葉が、今の私達の状況にはピッタリの言葉だ。
それにしても、よりにもよって遭難だなんて!明日は私の誕生日だというのに!