世紀末の恋の色は
「お待たせ致しました……って、もうお話し終わったみたいですね。まあいいや、さ、紅茶をどうぞ。
 ケーキにマフィンにバウムクーヘン、焼き菓子にプティング、色々あるけどレナ様はどれがお好みですか?
 勿論全部食べて頂いて構いませんけれど、夕食も入れられるように余力は残しておいて下さいね」


物凄い早口でお菓子を説明し出すセシルに、アルフレートは溜め息をついて部屋に視線を戻す。


「やれやれ。風が静かになったと思えば……」


そう零しながら、セシルとレナを見つめるアルフレートの瞳はどこか優しい。


「……じゃあ、ケーキを一つ」

「うん、どれが良い? これは普通のチョコレートケーキ、こっちはモンブラン、これは野苺のフルーツケーキ、これは……」


セシルの熱意に根負けしたように、レナはお勧めを一つ、と呟く。

口の端を微かに細めてから、アルフレートは再び夜空を見上げた。

だが、今度の瞳は決して優しげではない。


「五月蠅いな……ガキ共が」





Fin.
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