世紀末の恋の色は
第一章
……け、て……。
ねえ、誰か……。
夜風に混じった何者かの声が、彼を浅い眠りから呼び覚ます。
うっすらと開かれた瞼。
その瞳に映り込んだ夜空の月は白く、白く。
淡く冷たい光に照らされて、男は再び瞑目する。
そしてもう一度夜陰に耳を澄す。
闇夜に黒く染まった森を吹き抜け、風は粉雪とともに声を運んで来たが、やがて不意に掻き消える。
静寂を取り戻した夜。
男がゆっくりと動きだすのを、静かな月だけが見守っていた。
.
ねえ、誰か……。
夜風に混じった何者かの声が、彼を浅い眠りから呼び覚ます。
うっすらと開かれた瞼。
その瞳に映り込んだ夜空の月は白く、白く。
淡く冷たい光に照らされて、男は再び瞑目する。
そしてもう一度夜陰に耳を澄す。
闇夜に黒く染まった森を吹き抜け、風は粉雪とともに声を運んで来たが、やがて不意に掻き消える。
静寂を取り戻した夜。
男がゆっくりと動きだすのを、静かな月だけが見守っていた。
.