世紀末の恋の色は
第五章
窓から光が零れる。
微かなうめき声と共に、レナは目を開いた。
広く大きなベッド、掛けられていた毛布、見覚えのない空間。
しばらくの間、脳の機能が停止する。
「ええと……」
よく回らない頭で、彼女は懸命に昨夜の出来事を思い出そうとする。
確か、夢を見た。
冬の雷の音で目覚めて、アルフに抱き付い、て……。
かっと彼女の頬に赤みが差す。
優しい腕を思い出した。
挑発してまんまと笑って返されたのも思い出した。
昨日の彼が優しくて、切なげだったのも、何もかも、全て。
ならばここはアルフに連れられて来た部屋なのだろうか、と彼女は辺りを見回す。
屋敷の他の部屋と同じように、簡素な調度品たち。
部屋の外に至る為の扉は一つだけで、取りあえず彼女はその扉に手を掛ける。
そ、と開いて見るとそこはまた別の部屋のようで、鎧戸が降りているのか、陽の光はほとんど射していない。
ただ机の上に蝋燭が置かれていて、小さな炎がゆらゆら揺れていた。
頼りない光に照らされて、茫と扉が浮かび上がって見える。
絨毯の上で何となく足音を忍ばせて、レナはそっとその扉を開いた、瞬間。
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微かなうめき声と共に、レナは目を開いた。
広く大きなベッド、掛けられていた毛布、見覚えのない空間。
しばらくの間、脳の機能が停止する。
「ええと……」
よく回らない頭で、彼女は懸命に昨夜の出来事を思い出そうとする。
確か、夢を見た。
冬の雷の音で目覚めて、アルフに抱き付い、て……。
かっと彼女の頬に赤みが差す。
優しい腕を思い出した。
挑発してまんまと笑って返されたのも思い出した。
昨日の彼が優しくて、切なげだったのも、何もかも、全て。
ならばここはアルフに連れられて来た部屋なのだろうか、と彼女は辺りを見回す。
屋敷の他の部屋と同じように、簡素な調度品たち。
部屋の外に至る為の扉は一つだけで、取りあえず彼女はその扉に手を掛ける。
そ、と開いて見るとそこはまた別の部屋のようで、鎧戸が降りているのか、陽の光はほとんど射していない。
ただ机の上に蝋燭が置かれていて、小さな炎がゆらゆら揺れていた。
頼りない光に照らされて、茫と扉が浮かび上がって見える。
絨毯の上で何となく足音を忍ばせて、レナはそっとその扉を開いた、瞬間。
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