君だけに送るエール【短編】
どこかで、鳥が鳴いてる。


「え?あの…ずっとって…いつから?」

「一目惚れだったから…会った時からですよ。
…ほんとに気付いてなかったんすね」


少し赤くなりながらも、呆れたような顔で私を見る長谷部に今だに疑問が頭から離れない私は思わず立ち上がって詰め寄る。


「かっかのじょ、彼女いたよねっ!?
髪の短い他校の…っ」

だから中学の時の私は諦めようと決めたのだ。
そんなこちらの内情を知らない長谷部は目を丸くする。

「あれ?言ってなかったかな。
あれ従姉妹ですよ」


なんてこった!
ガッデム当時の私。


「で、返事が欲しいんすけど…」
「ままま待ったっ!」

再びそういうムードになりかけた長谷部に被さるように出て来た俊介に長谷部がいらついた目線を向けたのがわかった。



「あんたなんなんだよ!
ベタベタベタベタ先輩に付き纏って騒ぎ立てて、先輩だって迷惑してんだろ!
今だってすげぇ邪魔だってわかんねぇのかよ!」



割と温厚な長谷部がこんな風に怒る所なんて初めて見た。

でも…


















こんなに俊介が傷付いた顔をしてるのも、初めて見た。
< 16 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop