きっとずっと
───コンコン
この荒れ果てた部屋には似つかわしくない、軽快なノックの音が微かに聞こえる。
ベッドから、起き上がるのもめんどくさい。
聞こえているけど、聞こえないふり。
誰にも会いたくない。ほっといて。
ガチャリ
久しぶりに空いたドアから出てきたのは、懐かしい顔だった。
「桜、大丈夫…?」
この状態見たら、頭のいい貴方なら大丈夫なはずなんかないって解るでしょう。
その無意味な問い掛けに、答えが返ってくるとでも思ってるの。
「桜、泣いてるの…?」
泣いてなんかない。
泣くって云うのは、悲しい時や嬉しい時に流れるもの。
何も考えられない今、私の目から流れてるのは、ただの水。
涙なんて、素晴らしい名前なんて持っていない。
「ねえ、桜…?
お願い返事して……」