恋愛ごっこ

「今日なんの日か分かる？」
　そう送ろうとしたがやめた。　
　森は本当に気づいてないの？
　恥ずかしくて言えないだけなの？
　でもメールだったらいいじゃん。早く言ってよ･･
「俺もう寝るわぁおやすみ」
　え!?寝ちゃうの!?今日あたしの誕生日だよ。
　“おめでとう”って言ってよ
　メールでいいから言ってよ･･ねぇ･･
　もうあたしの事好きじゃないの？
　好きだったら普通覚えてるよね･･好きな人の誕生日なんだから･･あたしは･･
　あたしは覚えてるよ？森の誕生日･･１/１３だよね･･･ねぇなんで？

　―昌の時もそうだった―

　頭の中でこの言葉がよぎる

　･･そうなのかも
　もう･･辛いよ。
　メールしかできない。２人で会えない。喋れない･･
　『メールしかできない』
　辛いよ･･苦しいよ･･会いたいよ･･
「あっ!」
　あたしは恋愛マンガを思い出した。
　主人公の女の子の気持ちが痛いほど分かる･･
　あたしはあの頃･･
　『会いたいなら会ったらいいじゃん？』
　『苦しくて辛かったら別れたら？』
　って言ってた････他人事のふりして･･気づくのが恐かったんだ。
　今、誰かにそれを言われたら
　『会いたいけど会えない』
　『苦しくて辛いけど別れない』　
　そう答えるだろう･･
　
　あたしは･･楽な方を選んだ。
　『森と別れる･･』
　やっぱり彼氏ができたら、喋りたいし２人きりで会いたいし一緒に過ごしたい。
　それは誰でも同じだよね？
　
　ずっとメールだけなんか･･我慢できないよ。
　あたし、辛い･･苦しい･･寂しい･･死んじゃうよ･･
　好きだよ･･でも･･辛いよ･･
　あたしをこんなに迷わせないでよ･･
　もう･･別れる。
　
　やっぱり今回の“恋”も“恋愛ごっこ”に変わってしまったんだろう。
　“恋愛ごっこ”に変わった時
　あたしも変わったんだ･･
　
　考えてるうちに２年生。

　あたしはある事に気づく･･