恋愛ごっこ

　―時は軽く流れ―

「もうすぐ夏休みだぁー!!優希ぃ焼きまくろぉ!!」
　茜はうきうきしながら言う
「当たり前じゃ～ん!!がんがん焼こう!」
　
　すごく楽しかった。

「席に着いて!もうチャイム鳴るわよ!」
　先生は怒鳴る
「うっせーんだよ」
　茜は先生を睨む

　先生は２年生になってまた担任になった。
　恐くないのは知っている
　すごくなめられている
　わかってるのに･･止められないんだ。
　あたしの心には、『ごめんなさい』という言葉がどこかにあった。

「優希も何か言ってやれよぉ」
　･･･
「チビ」
　あたしは睨んで先生に言う
「伊藤さん後で話があるの」
「････っ!」
　先生は真面目な顔で言った
　あたしはその場を逃げ出したい気分だった
「はぁ!?優希ぃ行っちゃだめだよ!どうせ長い説教だしぃだるいし!!」
「うん!行かないに決まってるじゃん」
　･･うん、行かない
　行くのが恐い。何か･･嫌な感じがするんだ
　長い説教なのは分かってる･･でも、先生は説教のために呼び出したんじゃない

　チャイムが鳴り　皆席に着く　次は総合の時間だ
「７月９日に行事があります」
　先生は喋りだす
「えぇー!?」
「夏休み前なのにぃ!?」
「だりぃー却下却下!」
　皆は次々に言う
「“アジアと出会う”･･皆さん今から席替えをします。席替えが決まってできた班が今回のグループとなります」
　いつものようにペラペラ喋る
「はぁーい」

　ガラガラッ―･･
　―席替えがあたしの未来をかえた―

「おっ隣伊藤じゃん」
　･･誰こいつ･･たしか竹田隆司ってやつだっけ
「うん」
　そっけなく答えた
「嫌？」
　何聞いてんのこいつ･･
「別に」

　
　これがあたしと隆司の出会いだった