森で暮らす人々



そこには何もかもがあった



佳乃への愛情も

絢への愛情も

罪悪感も

安らかな気持ちも



単純なる恍惚も

自分への憎しみも

なにより佳乃の愛情も。




すべてが混じって
ふと冷静になった私は



「別れよう」と
ポツリとつぶやいた




佳乃は何も言うことはなく
優しく微笑んでいた




卑怯な男だ。



私はこの日この男の優しさと温もりを
きっと忘れる事はできないだろう


< 13 / 18 >

この作品をシェア

pagetop