ぐらんでぃおーそ。

♪♪♪♪♪♪




栄光が家に着く頃には夕日は沈み、空には星が小さく光っていた。

キッチンに居るはずの母親に聞こえるように「ただいまー」と言ったが、「おかえり」の一言は返ってこなかった。

テストの結果が分かった日から母親は栄光を無視するようになった。

(まだ怒ってんのかよ…)

たかがテストで完全無視。

イラつきながら自分の部屋に入り、鍵をしめる。

ドサッと制服のままベッドに倒れ、目を閉じると少しイライラがおさまった。

「青春は一度きりなんだぞー」

期末で取り返せるテストより、今しかない恋の方が断然大事。

まさか赤点を三つもとるとは思わなかったが。

「…勉強しよ」

青春は一度きり。

追試も一度きり。

明日は追試を三教科受けなければならない。

栄光はゆっくり起き上がり、机に向かう。

教科書を出そうと鞄をガサガサさせていると、聞きなれた着メロが流れ、メールが届いた。

ディスプレイには『fromしずか』と表示されていた。

件名は『今度なんか奢れ』

「なんだそりゃ」

メールを開くと、江刺聡に関する情報が書かれていた。

「えぇっ!?」
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