ぐらんでぃおーそ。
ただ、ラブレターを出して三日後に紙切れとなっただけ。

「今日はやる気ナッスィング。終わる気しないー」

「でも終わんないと帰れないじゃん」

「シーちゃん、先帰って良いよー。彼氏クン待ってるでしょ?」

さっきから携帯電話を離さないところを見ると、おそらく校門辺りで待たせてるのだろう。

「んじゃ、帰るわ」

静佳は「もう少し待つよ」の一言すら無く、軽く手を振りながら席を立つ。

「…あんたのそーゆー建て前とか一切無視なトコ好きよ」

「ありがとん。バイビー」

薄情者!と心の中で叫びながら静佳を見送る。

(恋の代償デカ過ぎ…)

本日何回目かの溜め息をつき、シャーペンを握り直す。

本気でやらなければ本当に帰れない気がした。





静佳が帰ってから三十分が経った。

「しゅーりょー」

んーっと背筋を伸ばし、天井を見上げる。

夕日色が教室全体を包み込んでいた。

課題を提出し、職員室を出ると四階の音楽室からパラパラと音が響く。

(まだ部活やってんだー)

帰宅部の栄光は余程のことがない限り学校には残らない。

窓の外を見ると野球部やらサッカー部やらがグランドを右往左往している。
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