ぐらんでぃおーそ。
「青春MAXだねぇ」

しみじみしていると、校庭の隅で目が止まる。

思わず「あっ!」と声をだしてしまった。

楽器を持った女子の隣に男子が笑いながら座っていた。

(まさかの展開っ!)

栄光の心臓をドスッと射止めた男子が女の子といる。

つまり、カップル。



(たった一日で失恋ですか?)



ガクッとうなだれるしかない。

人生で一番深い溜め息をつき、トボトボと学校を出る。

校庭の真ん中を歩いていると、さっきの場所を見てしまう。

意中の男子はすでに居なく、楽器を持った女の子だけがキィキィと吹いていた。

(ジャージの色が一緒だから同じ学年かぁ…何組だろ?)

ついつい彼女を凝視してしまう。

一瞬、男子かな?と思うほど髪が短く、サイズが合ってないのかダボダボのジャージを着ていた。

「あーあ、あたしの青春は終わったなぁ」

空を見上げ、風を感じながら校門に向かって歩くと、バサバサと紙が飛んでくる。

その紙には真っ黒な音符が書かれていた。

「そこのカノジョー、それ拾ってくださーい」

ヒラヒラと手を振って声を掛けてきたのは、楽器を持ったあの女の子。

「う、うん」
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