ぐらんでぃおーそ。
ただ、明らかに音がおかしい。

それでもなんとなく聴き続けたいと思い、吹き終わるまでずっと聴いていた。

ピヤーと音が止まると悠樹は満足そうに一礼した。

「それってなんの曲?」

「言っても分かんないと思うから内緒」

特に興味もなかった為「あっそう」と流した。

「どっかで聴いた時ある曲だった」

「どっかで流れてた曲だもん」

「…なんで恋の応援で楽器吹いたの?」

「恋はね、音楽なんよ」

(薄々気付いていたけど、この子ちょい不思議ちゃんだわ)


でも、嫌いじゃない。


「ふぉるてふぉるて、りたるだんど♪」

リズミカルに呟いているが、よく分からない為さらっと流す。

「恋は『ふぉるて』だけじゃなく『ぴあにっしも』も必要だよ」

「出来れば日本語で教えてほしいんだけど」

「ぴっちかーとぴっちかーと、あ・る・こ♪」

無視された。

「おっと、もうこんな時間だね」

だいぶ遅い時間になっていた。

「あ、ホントだ。じゃああたし帰るね」

おいしょ、と立ち上がり制服についた土を払う。

「また明日ねー」

「うん、また明日」

軽く手を振って校門に向かう。
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