空に片想い
ぴちょん

ぴちょん…

その日の夜。
お風呂の中でゆっくり考えた。

「っはぁ~」

思わず大きなため息が出てしまう。
でもなんだか今日は大きな一歩を踏み出せた気がするのは…私の気のせい?

『け、堅斗君!!』
『…え?』
『さっきはありがと』
『うん』
『じゃあ俺、部活行くから』
『あ、うん』

たったこれだけの会話。
でも私にとっては
大きな会話。

とくん とくん

もしかして私。
ドキドキしてるの?

………駄目。
駄目だ。駄目だ私。

相手はモテグループの人間なんだから…恋なんかしてしまったら傷つくのは自分なんだから!!

分かってる。

今までだって
ずっと叶わない恋ばかりしてた。
だからこれからもきっと叶わない恋ばかりする。
だから…もう。
恋なんてしない。

人を愛するのは疲れた

誰かに愛されてみたい。

自分の頬を伝ったのは雫なのか涙なのか分からなかった。
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