空に片想い
―ガラッ

教室のドアが開いて誰かが入って来た。

私は誰か気になったからチラッと横目で見た。


「あ…りっちゃん…」

「朱裡おはよ…何してるの?」

私は慌ててまだ消し切れていない文字を隠した。

でも大きくて濃い文字、私の二本の腕だけで隠せる訳がない。


「何コレ…朱裡…もしかして」

「あはは、誰なんだろうねッ…別に私は気にしてないし」

「朱裡…」


―キーンコーンカーンコーン

「ほらりっちゃん!チャイム鳴ったよ?先生来ちゃうから席に戻って」

「う、うん…」

りっちゃんは渋々自分の席に戻って行った。
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