みんなのせかい
少し空気が湿気を帯びているのは朝から昼過ぎまで降っていた雨のせいだろうか。

その肌に貼りつくような空気に少し顔をしかめながら、いかにも会社帰りらしいOLがコンビニから出てきた。

右手に持つコンビニの袋の中にはスナック菓子とおぼしきパッケージが覗いている。

淡いピンクのショルダーバッグを肩から下げて綺麗な藤色のワンピースに薄手のカーディガンを羽織り左手には赤い傘。

華奢な体つきでかかとの少し高いミュールを履き、まだ乾ききってない道路に残る水たまりを避けながら夜道を自宅に向かって歩いていた。

ぱっと見は美人の部類に入るかもしれないが、どこにでもいる平凡なOLだ。

もしも彼女が芸能人だったとしても名前が世間に広まる前に消えていくような、どこにでもいるような少々見栄えが良い程度の平凡なOLだ。

しかし、その少しばかり見栄えの良さが逆に三人の目には恰好の暇つぶしに映ったのかもしれない。

『やるか。』

ジュンジが言う。

ツトムとマサユキが『あぁ。』と答える。

おもむろに三人は立ち上がった。

食べ散らかしたカップラーメンの容器やオニギリの包みもそのままに、十分な間隔をあけ彼女の後をゆっくりしたペースで追いはじめた。



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