みんなのせかい
★静かに壊れる音
コンビニの袋を下げたＯＬは三人に後をつけられている事に気づく気配はなかった。

歩く速度も少し早めに暗い夜道を真っ直ぐに前を見て歩いていた。

暗い道にポツリポツリと点在する街灯は、今にも降参の白旗を夜の暗闇にあげそうな心許ない光を灯している。

彼女は夜道の一人歩きに慣れているのか警戒している様子もなく、今から自分の身に襲いかかる惨劇の予感を全く感じていないようだった。

三人は『ハント』に関して手際が良かった。

今までだって尾行をしていても気付かれなかったし、暗闇に引っ張り込んで女性のバッグを奪う時も悲鳴をあげさせるような事はなかったし、女性自身が標的の場合でも邪魔が入るようなヘマはなかった。

三人の役割の分担がキッチリとされていたからだろう。

人気のない駐車場や空き地、公園に女性を引っ張りこみ、何がおきているのか解らない内に押さえ込む。

一人が口をおさえ、一人が腹の上に座って体の自由を奪う。

そうして残る一人がバッグから金品やケータイを盗む。


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表紙・目次

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