みんなのせかい
★ゼロサム
ツトムは何も言えなかった。
あの状況を『交通事故』と判断する理由が解らなかった。
医師は続ける。
『ツトムくんも少し頭の打ち所がずれていたら命に関わっていたかもしれないよ。
ジュンジ君やマサユキ君の事を考えると良かったとは言えないけどツトム君が生き残ったのは不幸中の幸いだね。』
そう言うと慰めにも似た優しい微笑みをツトムに向けた。
『でも残念な事に轢き逃げ犯は捕まっていないみたいだ。』
『待て。』
ツトムが医師の言葉を止めた。
『交通事故?』
ツトムは医師を睨む。
『違うだろ?
交通事故じゃないだろ?』
医師は何も答えない。
『ジュンジもマサユキも殺された。
女だ。
女に殺されたんだ。』
ツトムの頭の傷が微かにうずいた。
『交通事故なんかじゃない。』
ツトムは怒りと疑問がミックスしたドロドロの油のような物が頭の内側に流れ込んでくるような気がした。
『殺されたんだ。』
医師に聞かせているのか自分自身に言い聞かせているのか解らない様子でツトムは言った。
あの状況を『交通事故』と判断する理由が解らなかった。
医師は続ける。
『ツトムくんも少し頭の打ち所がずれていたら命に関わっていたかもしれないよ。
ジュンジ君やマサユキ君の事を考えると良かったとは言えないけどツトム君が生き残ったのは不幸中の幸いだね。』
そう言うと慰めにも似た優しい微笑みをツトムに向けた。
『でも残念な事に轢き逃げ犯は捕まっていないみたいだ。』
『待て。』
ツトムが医師の言葉を止めた。
『交通事故?』
ツトムは医師を睨む。
『違うだろ?
交通事故じゃないだろ?』
医師は何も答えない。
『ジュンジもマサユキも殺された。
女だ。
女に殺されたんだ。』
ツトムの頭の傷が微かにうずいた。
『交通事故なんかじゃない。』
ツトムは怒りと疑問がミックスしたドロドロの油のような物が頭の内側に流れ込んでくるような気がした。
『殺されたんだ。』
医師に聞かせているのか自分自身に言い聞かせているのか解らない様子でツトムは言った。