みんなのせかい
三人は愚かで下らなくて暴力的な人間だった。

周りの人間はそれを正確に把握できていたのか三人に自分から近づこうとする者はいなかった。

他の誰かが三人と関わる時には意味の解らない稚拙な単語を理解するのに苦労した。

悪い事に三人の歯の隙間から漏れる息でそれを聞き取るのもままならなかった。

そして三人は自分たちの言いたい事が通じないのに腹を立てて押さえる事もなく短絡的に殴った。

そんな事が繰り返される内に三人は孤立して下らない王国の下らない王となり、その下らなさに気づかずにのうのうと道を我が物顔で闊歩していた。

誰も三人を気にもとめず、三人が近くにきたら息を潜めて行き過ぎるのをひたすら待ち、三人の気配に眉をひそめた。

誰も三人を咎めることをしなかった。

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