みんなのせかい
三人は働く人間を心の底から小馬鹿にしていた。

毎日、朝も早くから電車に乗り、空調のきつい部屋で、パソコンや書類に頭を悩ませ、尊敬もしていない上司に敬語で話す。

三人にとって『働く』という認識はそれで全てだった。

そこから生まれる利益や社会的な貢献、製品や生活の安定と『働く』という行為は直結する事はなかった。

三人の主食であるコンビニのオニギリやパンも『働く』から生産されるという事は、三人には想像もできなかった。

三人の目にはサラリーマンの男性は侮蔑に価する小さな小さな存在に見えたし、OLの女性も時々やってくる性欲のハケグチか金品を強奪する小動物でしかなった。

三人は自分の存在価値のなさには気付かないまま、働く人間を見下していた。

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