【天使の片翼】

カナン国では、肌を露出することをあまり好まないとされる。

特に、身分の高い女性は、手足を隠すのが一般的だ。


しかし、気候の差があるのだろう。


ホウト国の正装は、袖が短く、肩も大きく開いていて鎖骨がはっきりと見て取れる。

直射日光をさけるために、全身を覆うように、うすい布を頭からかけてはいるが、

その布を通して、うっすらとのぞく肌が、かえってなまめかしく、

いっそう彼女の中にある、女を主張しているかのようだ。


ふるさとを離れて、少しは成長したのか、それとも恋でも知って女として目覚めたのか。



・・いや、多分、父上が来なかったから、落ち込んでるんだな。



エリシオンは愛する妹を見て、目を細めた。


二人で話す機会をもらったら、カルレインがこれなかった理由を、

きちんと説明してやらなくては。


そう思ったとき、一人の男性の登場に、会場が、ひときわざわめいた。




< 148 / 477 >

この作品をシェア

pagetop